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Interview
うつくしいひとをたずねて#2
下着デザイナー 栗原菜緒

あなたの美しさをかたちづくるのは、きっと毎日の習慣。

すっぴんの笑顔。洗いざらしの髪。はたらく人の手。

年齢や性別に捉われない真の美しさは今日を積み重ねた、その人の歴史そのものです。
そんな内面から輝くひとを訪ね、日々の暮らしや仕事、モノ選びに対するこだわりや思いを聞く連載。

今回のうつくしいひとは、下着デザイナーの栗原 菜緒(くりはら なお)さんです。

国産下着ブランド「ナオランジェリー」を立ち上げデザイナーとしてご活躍されています。
今回はcado cuauraの愛用者でもある栗原さんの日常に触れるため、取材はナオランジェリーのサロンにて行い、デザイナーとして、女性として、日々暮らしの中で大切にされていることなどを伺いました。



40ものパーツを丁寧に重ね合わせた下着

―― 取材時にいちばん驚いたことは、ブラジャーを作るために必要なパーツの数でした。

栗原さん:取材や講演でお話しすると、よく驚かれていますね。
布や糸、補強テープなどを合わせるとパーツは40を越えます。
素材1つ1つの良さも大切ですが、縫製の仕方や素材の合わせ方ひとつで、着心地やサポート感は違ってきます。素材を生かし、丁寧に重ね合わせるため0.03mmの世界で、パタンナーさんと調整を繰り返します。

ナオランジェリーの下着は心地よさを追求するため、1日付けていても疲れない、着心地と軽さを重視しています。また、デザイン、シルエットのイメージまでを自分の頭の中で明確に理想を描いて表現しています。
パタンナーさんとの試行錯誤も、お互いに信頼があってこそできること。自分の意思をしっかり伝えながら進めています。


――お客さんと接する上で心がけていることはなんですか?

相手を否定しないことですね。
日々のストレスでつい食べ過ぎてしまったり、生理のタイミングやホルモンバランスの乱れで、むくみやすい体質の方もいらっしゃいます。妊娠や出産などライフステージの変化の中で起こる体重の増減もありますよね。




サイズのアップダウンには様々な要因や背景があるってことを理解して向き合うことが大事だと思っています。なので、太っていることが悪いとは言い切れないと思うんです。サイズを測ることで、お客様自身が自分の状態を理解することは大事ですが、どんな状態であっても私たちスタッフは、お客様の今を受け入れることを大切にしています。下着が欲しくてお店に行ったのに、嫌な気持ちになる必要なんてないと思うんです。





―― 銀座サロンは完全予約制ですよね、とても落ち着く空間です。

ありがとうございます。サロンは子宮をイメージした色で統一しています。そのせいもあるのか、いらっしゃるお客様からも、ついつい長居したくなる!と言ってもらえることが多いですね。
サロンにも飾っていますが、アンティーク調のインテリアや小物が好きです。海外へ行くと必ず蚤の市へ寄って掘り出し物を探していますね。ディスプレイされているトルソーが被っている帽子もそうです。

サロンは完全予約制のプライベート空間なので、奥様が旦那様と一緒にいらしたり、パートナーを連れていらっしゃる方もいます。
百貨店の下着売り場や専門店だとちょっと躊躇してしまう男性も、このサロンだと一緒にゆっくり選ぶことができるので喜んでいただいています。
海外では男性から女性へ下着をプレゼントする習慣がありますが、日本でも是非、男性からのプレゼントで下着を選んでくれる機会がもっと増えたら素敵だなと思っています。女性はつけている下着で気分が良くなったり、元気が出たりするものです。だからこそ、大好きな人にプレゼントされたら嬉しいのは当然なんです!



物を置かない空間でリラックスする

―― オフの過ごし方を教えてください。

日々、お客様をはじめ、業者の方やスタッフなど、人と会っている時間が長いので、帰宅した瞬間に、気持ちはオフモードに切り替わります。家の中はとにかくシンプルに整えていて、家電も必要最低限で、テレビはないんです。仕事は家に持ち込まないので、パソコンもないですね。

母に「ものがない余白がある贅沢を知りなさい」と教えられたこともあり、気持ちが落ち着くという贅沢を家の空間で作っています。

インテリアからアロマデュフューザー、スピーカーまで全て白でまとめています。お気に入りはリビングに敷いているクリーム色のペルシャ絨毯。

夜は何かと予定が入るので、朝を自分のために使うようにしています。まずは、ココナッツコーヒーを飲んで、太陽を浴びて。日によりますが、30分のランニングと体幹トレーニングを習慣にしています。ランニングも瞑想に近い感じなので、心が整うんです。1人でいる時は、「心が無でいること」を心がけています。あとは、良質な睡眠を摂ること!体をきちんと休めて翌日も仕事に集中できるようにしています。



着心地の良いネグリジェで良質な睡眠を摂る

――良質な睡眠に欠かせないアイテムを教えてください。

ベッドと枕は色々試して、自分の体、頭、首に合うものを見つけました。枕は常に2つを用意して使い分けています。その日の疲れ具合によって首が楽な位置や高さが変わるので、枕を使って心地よい位置を探しています。
夏は涼しい感触ですし、冬は温かく、肌触りがいいので、ベッドシーツや枕カバーはシルクのものを使っています。あとは、ネグリジェですね。インポートものをよく着ています。肌にすっと馴染む柔らかいシルクやコットン素材が好きですね。寝るときに着るものをランクアップすると、当たり前に過ぎていく生活にちょっとした贅沢をプラスできる。この自己満足を毎日楽しんでます(笑)。





「棚に置いたら、しっくりきたんです」

―― cado cuauraのドライヤーは、実際に使われてみていかがでしたか?

持ちやすいサイズが良いですし、ノーズレスで丁度良い重さなので、乾かしていても手が疲れないですね。ドライヤーの音が大きいものが苦手だったので、そこも気に入っています。洗面台が真っ白なので、白いカラーにしたので、シンプルなフォルムのcado cuauraのドライヤーはぴったりでした。専用のフォルダーを使わずに洗面台のサイドの棚にハンドル部分を上に向けて収納しています。

―― もしドライヤーを贈るとしたら、誰に送りたいですか?

おしゃれなデザインなので、自分の兄に送りたいですね。兄は美容や化粧品関係の仕事をしているので、トレンドに敏感です。おしゃれ家電、喜んでくれると思います。

―― 最後に、栗原さんから男性に向けてメッセージをいただけますか。

下着は究極の自己表現と言われています。流行りやトレンドに左右されることが少ない、個人の嗜好が出るアイテムなのです。
男性も女性も価値基準は人それぞれですよね。物の価値をブランドで判断する人もいれば、素材やストーリーで基準を決める人もいると思います。
是非、ご自身の価値基準を満たした下着を選んで身に付けて欲しいと思っています。

下着に限らず、価値あるものをきちんと選べる男性は素敵だなって思います。

――今日はたくさんのお話を伺えて楽しい取材でした。ありがとうございました。


< 取材を終えて >

栗原さんの気さくな一面に触れ、撮影スタッフ全員がインタビュアーとなり、和気あいあいと行われたインタビュー。男性スタッフからも思わず本音がこぼれる!?(笑)楽しい時間でした。
栗原さんが下着を通して伝える「女性に寄り添う思い」に触れることができ、改めて自分の価値基準を考えさせられるきっかけにもなりました。
女性の身体を守り、心に寄り添う下着作りを続ける栗原さん。今後の活躍にも注目したいです。






<プロフィール>
栗原 菜緒(くりはら なお)

10代の頃からランジェリーの美しさに魅了され、大学卒業後にランジェリー販売に関わったのち、「美」の哲学に基づいたブランド作りを目指しコンサルティング会社に転職。日本の伝統工芸を発信する業務を担当し、市場調査、マーケティング、ブランディング、流通等に携わる。退職後はランジェリーデザインを学ぶためミラノへ留学し、日本の職人技術にインスピレーションを得たランジェリーを考案。2013年上海ファッションウィークにて「NAO LINGERIE」を発表。ランジェリーを通じて日本文化を世界に届けることを目指し、見た目の美しさと機能性とにこだわった日本製ランジェリーを作りつづけている。
https://naolingerie.com

撮影:片桐圭
取材:木村真悠子

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